店主の包丁制作体験記
大阪・堺で連想する物として名前が上がるのが堺打刃物。
よく切れる包丁としてプロの料理人から信頼と支持を得ています。
料理を盛り付ける器を中心に取り扱いをしている百舌鳥陶器ですが
盛り付ける前の調理に使う大切な料理人の道具の一つ。
包丁を作る所から体験してきました。
堺打刃物工程
令和3年3月28日(日)
堺打刃物伝統工芸士榎並正氏の工房に訪れて堺打刃物包丁造り体験をご報告いたします。
刃金つけ
地鉄と刃金を接着します。 熱した地熱を叩き、ホウ酸、硼砂、酸化鉄などでつけた刃金とあわせ、 炉に入れて火造りをしていきます。
先つけ
火造りした材料を動力ハンマーで叩き、包丁の形を整え、地金と刃金をなじませます。 整形後、たがねを入れて切り落とします。
整形・中子とり
炉に入れて熱し、ハンマーで整形します。
整形した包丁を藁に入れ、灰になる過程で徐々に熱を冷まします。(焼きなまし)
荒たたき・裏すぎ
包丁の酸化被膜をハンマーで叩いて剥がし、動力ハンマーで荒叩きします。 その後グラインダーで裏を研磨し、くぼませます。
裁き廻し
更にハンマーで全体を叩いてならします。この工程で包丁が鍛えられます。 のばされた包丁を型に合わせて裁ち落とします。
刻印打ち・摺り廻し
ゆがみやひずみを取り、裏に刻印を打ちます。 全体をグラインダーで仕上げ、再度ハンマーでねじれなどの修正をします。
泥塗り・焼き入れ
焼きむらを抑えるため泥を塗り、およそ750℃~800℃に加熱。水につけて熱を取ります。 焼き入れにより、刃金の高度が高まります。
焼き戻し
冷めた包丁を再び炉で熱し、水滴をたらしてその走り具合で温度を見る。 これにより、刃金に粘りが出て欠けにくい刃ができます。
歪みなおし
焼き入れ、焼き戻しによって出来た歪みを修正します。 研ぎ師に出す前の最終段階になります。
体験ではここまでの行程となります。
堺の包丁は行程をそれぞれの専門の職人が分業して一つの包丁が完成します。
会社での部署のような感じで、街自体に独立した職人が制作に携わり商品が完成します。
研ぎ、持ち手を取り付けて、後日受け取ります。
完成品を受け取りました
早速玉ねぎを切ってみました。
サクサクと切れます!
「物に魂が宿る」愛着を持って長く使える。
使い捨てるのではなく手に馴染むぐらい使っていきたいと思える包丁つくりを体験をさせて頂きました。
今回、本物の鍛治の体験、職人としての心意気に感銘を受けました。
この包丁は素人の私の手が入りプロの職人が仕上げてくれました。
プロが使う道具は職人が全ての行程をこだわりを持って制作をされています。
金属を鍛え心を込めた包丁。
使うほど手に馴染む木の持ち手。
カウンターのお客様の前で調理する職人の大きな武器になると思います。
百舌鳥陶器では今回体験させていただいた榎並さんの包丁をご注文頂けるよう準備をしています。
ぜひお問い合わせください。